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相続人が海外在住の日本人の場合
事例の概要
首都圏に在住されている70代女性からの、国際相続の相談事例になります。
亡くなったご主人の遺産相続についてのご相談でしたが、相続人の1人の次男にあたる方がアメリカに住まわれていることが分かりました。
この時の国際相続の手続きについて、事例としてご紹介いたします。
相談者 | 首都圏在住の70代女性 |
非相続人 | 相談者ご本人 |
相続人 | 相談者ご本人・ご長男・ご次男 |
相続遺産 | ご主人名義で保有されていた都内の自宅・土地 |
何が問題だったか | ご次男がアメリカ在住で印鑑を所持していなかった。 そのため、相続手続きに必要な遺産分割協議書に同意した押印ができない。 |
どのように解決したか | ご次男に「署名(サイン)証明書」と「在留証明書」をアメリカ国内の日本領事館から取得していただいた。 この2枚が印鑑の代わりになるので、相続手続きに入ることができた。 |
問題点と解決方法の詳細
印鑑は日本独自の文化
日本国内で手続きする際にほぼ必要な印鑑ですが、外国ではこのような文化がありません。
したがって、海外に移住された方は印鑑をお持ちでないケースが多く、国際相続手続きの障壁のひとつになっています。
日本国内においては印鑑証明書がないと、「遺産分割協議書」による相続手続きを行うことができません
印鑑の代わりになる証明書の発行
そこで、印鑑証明の代わりになる証書が必要となります。
在外邦人の場合「署名(サイン)証明書」と「在留証明書」がそれにあたります。この2枚で印鑑証明の代わりになります。
「署名(サイン)証明書」と「在留証明書」は、その国の日本領事館で発行することができます。
今回のケースではご次男の方に連絡をとり、アメリカの日本領事館でこれらの書類の発行手続き方法をお伝えし、無事証明書を取得することができました。
実際に手続きした内容
ご次男の方に発行いただいた 「署名(サイン)証明書」 と「在留証明書」が印鑑証明の代わりになりますので、あとは慣例のとおり手続きを進めていきます。
この事例では被相続人名義の土地・建物が遺産だったので、遺産分割協議書等を添付して、ご相談者(奥様)名義に相続登記を行いました。
以上、本件では関係者の方々に迅速に対応して頂けたため、ご相談を受けてから1か月半程で無事に登記が完了いたしました。
まとめ
この事例においてのまとめは以下になります。もし同じ状況でお悩みであれば、ぜひ参考になさっていただければと思います。
- 外国(中国、台湾を除く)には、日本のように「印鑑」・「印鑑証明」の文化がない。
- 「署名(サイン)証明書」と「在留証明書」の2枚の証明書を発行する必要がある。この証明書が印鑑証明の代わりになる。
- 「署名(サイン)証明書」と「在留証明書」はその国の日本領事館で発行できる。