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相続人が海外在住の外国人の場合
事例の概要 「唯一の相続人が米国籍の孫だった事案」(国際遺産整理の事例)
とある男性から相談された国際相続事例になります。
相談者の叔母にあたる方が亡くなり、この方が保有していた遺産の相続についてのご相談でした。
相続人であるお子様と連絡が取れず、相続関係が不明だったため、まずはその調査から行いました。調査の結果、相続人はアメリカ国籍の孫のみだと分かりました。
この時の国際相続の手続きについて、事例としてご紹介いたします。
相談者 | 50代の男性 |
非相続人 | 相談者の叔母 |
相続人 | 不明のため調査 - 被相続人にお子様が1人いることは分かっていた - 被相続人のお子様は、アメリカに渡り現地の方と結婚され、すでに亡くなっていた。 - アメリカ国籍の被相続人のお孫さんにあたる方が、唯一の相続人であることが分かった。 |
相続遺産 | 不動産(土地・建物)、預貯金、株式等有価証券 |
何が問題だったか | 相続人の所在が不明だった。 相続人がアメリカ国籍のため、日本の戸籍や住民票が取得できず相続関係が証明できない。 |
どのように解決したか | 相続人の調査…被相続人の死亡証明書等を手掛かりに、1年以上掛かってようやく相続人と連絡が取れた。 日本の法務局と事前打ち合わせ済みの「宣誓供述書(AFFIDAVIT)」を送付し、アメリカの公証人の認証を受けていただいた。 「宣誓供述書」で相続関係を証明し、国内における各種相続手続きを行った。 |
問題点と解決方法の詳細
相続人の調査
本事例のように、被相続人のお子様の所在が不明なケースはよくあります。
今回は被相続人の死亡証明書を手掛かりに、本人の遺言書を探し出し、それを作成した弁護士の協力を得て、相続関係の確認を行い、アメリカ国籍の相続人と連絡を取りました、
このように、弊所では相続人が分からない場合でも調査をお手伝いいたします。
相続関係の証明
まず、アメリカ国籍のお孫さんが、被相続人との間に相続関係があるのか証明する必要があります。
日本国内では、一般的に戸籍謄本や住民票があれば相続関係が証明できますが、アメリカなどの外国にはそもそも戸籍や住民票などのシステムがありません。
そこで、「宣誓供述書」という書類を用います。
宣誓供述書(AFFIDAVIT)
「宣誓供述書」とは、本人が陳述した内容を公証人が認証し、公文書化した書面の事です。今回はアメリカで認証する必要があるため、内容は英文で記載します。
宣誓供述書に相続関係を証明する内容と相続手続きを委任する内容を記載して認証を受ければ、そのまま日本国内でアメリカの公文書として利用できます。
また、不動産の登記を行う場合には、宣誓供述書の内容につき、予め法務局に確認を取ることが必要です。
法務局の登記官には、それぞれ独自の判断が認められているため、事前に確認をしないと、登記が受理されず、宣誓供述書を作り直すことになるリスクもあるからです。
最終的には、法務局に事前確認した日本語の内容を英文化し、相続人へ郵送して、アメリカで公証人による認証を受けてもらうことになります。
実際に手続きした内容
相続人から認証済みの「宣誓供述書」を送ってもらい、日本国内での相続手続きを行います。
今回は、「不動産の相続登記」「銀行預貯金の解約」「株式の承継及び売却換金」などの相続手続きを行い、相続人の口座に国際送金して完了となりました。
まとめ
この事例においてのまとめは以下になります。もし同じ状況でお悩みであれば、ぜひ参考になさっていただければと思います。
- 相続人の所在が不明なケースは多い。調査の方法はいくつかあるのでご相談ください。
- 相続人が海外在住の外国籍の方の場合、相続関係を証明するために「宣誓供述書」が必要。
- 「宣誓供述書」は外国の公証人の認証により、本人の供述内容が公文書化されるものであるが、使用目的に応じた文書を作成する必要がある。