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外国籍の相続人の行方がわからない案件
事例の概要
・依頼者は首都圏在住の60代男性。被相続人は10年前に亡くなった母親です。
・相続財産は、亡母親名義の貸しビルのみでしたが、借入れ先の銀行から、男性名義に相続登記を行って欲しいと言われていました。
・亡くなった母の戸籍には、配偶者として朝鮮籍の父親の名前が記載されていましたが、父親とは60年近く音信が無く、生死も含めて所在も不明でした。
受任経緯
・依頼者は本件相続登記を依頼しようと、地元の司法書士事務所、5、6か所相談に行ったそうですが、全て「相続人が不明だと相続登記はできない。」と断られたそうで、最終的に私の知り合いの税理士さんを通じて弊所に相談がありました。
手続き及び問題点
・まずは父親の捜索方法を検討しようと、依頼者のお話を聞いてみましたが、「亡くなった母親から父の話を一度も聞いたことが無い。」とのことで、遺品を探しても父親に関する手がかりが全く無く、判明しているのは戸籍に記載されている名前のみとのことでした。
・次に外国人登録原票を取得しようと、出入国在留管理庁に確認してみたところ、「生死が不明である場合、本人の承諾が無い限り、生死含めた全ての情報は開示できない。」とのことでした。
解決策及び結果
・以上から、通常の相続登記手続きはできないと判断して、管轄の家庭裁判所に、私を候補者とする不在者財産管理人の申立てを行うことにしました。
・そして、不在者財産管理人に選任された後、家庭裁判所と調整しながら、依頼者に貸しビルを相続してもらう内容の遺産分割協議の許可を受けるに至りました。
・結果、10年越しで、無事、依頼者名義とする相続登記を行う事ができました。