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ブラジル人相続人への説明に時間を要した案件
事例の概要
・被相続人は80代の女性で、配偶者も子供もいませんでした。
・相続人は、国内在住の弟(依頼者)と妹及びブラジルで亡くなった姉のブラジル国籍の子 供たち(甥姪4名)の計6名です。
・相続財産は横浜市内のマンションと預貯金でした。
受任経緯
・当初、依頼者は某信託銀行に相続手続(遺産整理)の依頼をしましたが、同行及び提携先の司法書士事務所では、このような国際相続案件に対応できなかったため、知り合いの行政書士さんを通じて弊所に相談があり、受任に至りました。
手続き及び問題点
・ブラジル側相続人の代表者である甥を通じて、依頼者が遺産の全部を相続する代わりに、他の相続人には法定相続分に相当する金銭(代償金)を支払う意向を伝えたところ、その方向で良いとの了解を得ました。
・そこで、その内容を記した宣誓供述書を作成してブラジルに送ったのですが、コロナで外出できない等の理由で、約1年経っても書類の返送がありませんでした。
・経験上、何かおかしいと思い、本当の理由を教えて欲しいと伝えたところ、ブラジルでは相続財産は裁判所の管理下に置かれ、裁判所作成の財産目録などの書類が作成されるのに、日本側からそのような書類の提示が無い事に不信感を持っていると言う事がわかりました。
・生まれも育ちもブラジルである甥姪たちにとって、相続財産に関して裁判所が関与せず、
相続人間の話し合いのみで遺産分割ができる日本の制度が理解できなかった様子でした。
解決策及び結果
・それらに関して、日本の民法では、争いが無い限り、個人の相続手続きに裁判所が関与することは無いことを繰り返し粘り強く説明し、それに対するブラジル側からの質問にも丁寧に回答を続けた結果、約半年後にブラジルから書類が届き、相続手続きを進める事ができました。