国際相続とは
国際相続とは、一般的に言えば、被相続人や相続人の国籍や居住地が外国だったり、海外に相続財産が存在していたりと、相続に関する事柄のいずれかが外国に関係している場合を言います。
その意味では、国際相続と言っても、さまざまなパターンが存在することになります。
相続人に海外在住の日本人がいる場合
最も多いのは、相続人の中に、仕事や国際結婚などで海外に住んでいる日本人がいる場合です。
実際、私の感覚でも、都内で相続手続きの依頼を受けた場合、15件に1件程度の割合で「相続人のうちの1人が海外に住んでいる。」という案件に行き当たるように思います。
こちらでは、都内の70歳代の女性からの相談事例をご紹介します。
相続人の中に外国人がいる場合
国際相続で次に多いのは、「相続人の中に外国籍の方がいる」場合です。
例えば、日本人男性との国際結婚で配偶者となった外国人女性や移民として海外に渡った日本人の子孫の方が相続人となる場合です。
外国籍の相続人がいる場合でも、さらにその外国人相続人が日本に住んでいる場合と海外に住んでいる場合で、それぞれ手続きもノウハウも違ってきます。
人の国際化が進む中、国際相続の発生はますます増えていくものと思われます。
こちらでは、とある男性からの相談事例をご紹介します。
国際相続に関わる法律について
国際相続と日本における準拠法
国際相続が発生した場合に、どこの国の法律が適用されるかについて悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この点についての原則的な考え方は、シンプルであり、我が国の「法の適用に関する通則法」(以下、「通則法」と記載)の第36条には「相続は被相続人の本国法による。」と規定されています。
つまり、原則として、日本人が亡くなって相続が発生した場合には、日本の法律(民法等)が適用され、外国籍の方が亡くなって相続が発生した場合には、その方の本国の法律が適用されることになります。
このように、被相続人の国籍により相続に関する準拠法が決まる制度は「相続統一主義」と呼ばれ、日本のほか、台湾、ドイツ、イタリアなどの国々がこの法制度を採用しています。
国際相続と海外における準拠法(反致)
上記のとおり、日本の通則法においては、外国籍の方が亡くなった場合、その方の本国法が適用されることになるのですが、それら外国の相続法の中には日本とは異なる規定をしている国もあります。
例えば、アメリカ国籍の方が亡くなった場合は、アメリカの法律が適用されることとなり、具体的には、その方の主な居所(ドミサイル)が属する州の相続法によることになるのですが、一般的にアメリカの各州の相続法においては、「相続財産が不動産である場合については、その所在地の法律による。」と規定されています。